わたしはどうやらスターバックスこと、スタバが好きなようです。
他の人に言われるまでは、あまり意識しませんでしたが、よく「スタバ好きだよね」と同業者や近しい人に言われたりして、ふと考えてみると、確かにスタバが好きかもしれないと思うようになってきました。それがだいたい10年くらい前のこと。そして今では自他ともに認めるスタバ好きという感じになっております。それにしてもなぜスタバが好きなのか、自分でもいろいろ考えるのですが、どうやら単純にコーヒーが好きというわけではないようです。
「スタバが好き」というと、なんだか甘いフラペチーノやマキアート系を飲んでそうなイメージがありますが、わたしがもっぱらオーダーするのはドリップコーヒー。ほとんど甘い系の飲み物はオーダーしません。コーヒーもブラックで飲むことが9割以上です。個人的にはライトノート、ハウスブレンド、パイクプレイスローストが好きで、それらが本日のドリップコーヒーになっているとテンションが上がります。これらは総じて毎日飲んでもおいしい系の味、極端な癖がないフレーバーだと思っております。そう、逆に言えば、毎日行けるくらいの感覚がスタバの魅力だと感じているのです。
田舎に住んでいるとスタバは高級というイメージで語られることもあるのですが、それはいわゆるフラペチーノ系を飲むからであって、一番シンプルなドリップコーヒーを一番小さなサイズでオーダーすれば350円です(2023年現在は)。そしてドリップコーヒーは、ワンモア・コーヒーというサービスがあり、2杯目はなんと110円で飲むことができます。つまり、2杯で460円、1杯にすると230円なのです。破格のお値段!こういう意味でスタバのコーヒーは高いというイメージは、わたしの中では全然なくて超リーズナブルだと思っております。1か月、毎日、朝夕通ったとしても1万5千円程度。
スタバがワンモア・コーヒーのサービスを提供するのは、サード・プレイスとしての場所を目指しているという記事をどこかで目にしたことがあります。サード・プレイスとは、家庭、職場というファースト・プレイス、セカンド・プレイスに準ずるサード・プレイスのこと。家庭でも職場でもない場所の提供がスタバが目指す場であり、通勤の往路、復路でスタバに立ち寄ってもらうという意味で、このサービスを行っているそうです。始業前と終業後にスタバに寄り、仕事前に気持ちを戦闘モードに高めていき、仕事後には気持ちをリラックスモードに整えるということで使うのがもっとも「効果的」な使い方なのでしょう。まぁそんなに単純ではないとしても、実に理にかなっていると感じております。
そして馬鹿にされるかもしれませんが…いろいろと海外に行っても観光地ではなく、スタバに立ち寄ったりしてます。中国のスタバも行くことが多いのですが、思い出深いのはシアトルの1号店のスタバとコスタリカの農園。シアトルが地元の友人にきくと、スタバができた当時は、だれがあんな高いコーヒーを買うのか、と話題になっていたそうです。ただ質の高いコーヒーとサービスは、その後も受け継がれていったわけで、今ではそれが世界中に広がっています。マクドナルドではないですが、スタバが提供しているのはコーヒーという飲み物ではなく、むしろその「哲学」なんですよね。フランチャイズの店舗がなく、すべてが「直営」という点も非常に好感が持てるところです。どの店も、とにかく清潔な気がします。
シアトルの1号店だけは、マークがグリーンではなくブラウン系の看板になっております。
わたしが訪れたのは、2010年前後だったかと記憶しておりますが、その時も既に「観光スポット」となっていたような気がします。やっぱり1号店って「聖地」ですからね。
そしてもうひとつ印象深かった場所が、コスタリカのスタバ。コスタリカは縁があって、2年間ほど妹が住んでいたので、それにかこつけて遊びに行ったことがあります。その際に、スタバの農園に付随するお店に行ったのですが、本当にその日は天気も良くて非常に素晴らしい雰囲気の中でコーヒーを楽しむことができました。天国に一番近いスタバなのではないでしょうか。スターバックス初の自社農園「ハシエンダ アルサシア農園」がそこにはあり、コーヒーをめぐるワークショップなんかも係員から受けることができます。
まぁとにかくわたしはスタバが非常に好きです。コーヒーという意味だけじゃなくて、その「哲学」としても。ただカッコつけてコーヒーや素敵な環境さえ用意すればビジネスは成り立つかというとそうでもなく、ちゃんと甘い系のドリンクや季節のマイナーチェンジも適切に行っているので老若男女だれでも楽しめる素敵な空間になっているのではないかと思います。わたしの専門とはかけ離れる分野ではありますが、経営学、経営的な側面からみても本当にすごいのではないでしょうか。
こうしてスタバに関して語ってみると何かに似ているなと感じます。わたしがすぐに思いついたのは、神社仏閣。今でこそ日常の延長にある場所とはいえないですが、かつての神社仏閣って、すべて「直営」で整理整頓が行き届いていて、非常に秩序だった身近な空間だったのではないかと考えたりします。そんな中にいると気持ちも落ち着いたことでしょう。ただ神聖な空間というだけではなく、そこには縁日があったり、落語会があったりもして、いわゆる「コーヒー」以外の「甘い系」が好きな人も気軽に集まれる場所だった気がします。そういう意味で、スタバはわたしにとって現代版の神社仏閣。日本のみならず世界的に展開されるスタバ教の教会に、朝晩馳せ参じて気持ちを整えている。そんな感じです。
スタバが好きっていうと、ちょっとなんかダサい感じもしますが、わたしは結構本気で好きなようです。
そんな日々是好日です。