019:Tricker’s

 わたしが日々使っているモノは、熟考を重ねたうえで手に入れることが多いです。モノによっては数年くらい考え続けてから買ったり、買わなかったりします。そんな話を人にすると、驚かれたりもするのですが、どうやらモノに対する思い入れが強いのかもしれません。ここではそんな語りたくなる愛用品をお話しします。

 

 前回とりあげたのが、「New Balance M576 DBW」だったので、靴の話が続きます。これはわたしの母の影響かもしれませんが、母が事あるたびにオシャレにお金をかけるのであれば、絶対に靴からということを言っていたのを間接的に影響されてか、靴には昔から(比較的)こだわってきた気がします。中学生の頃にお年玉をはたいて買ったブーツも2万円くらいしましたし…、初めてアメリカに行ったときに買ったのもカッコいいバスケットシューズでした。そんなわけで靴は比較的気にかけているもののひとつです。

 

 とはいえ、靴はたくさん持っているかというとそういう訳でもありません。サンダルを除くと、スニーカー、革靴を含めて5足しか持っていません。ビジネス用の黒い靴、革靴2足、スニーカー2足(白・ブラウン)と言った感じです。結構少ない方かもしれません。

 そんな靴のレパートリーの中で、5分の2を占めるのがTricker’sの革靴です。これがまた長年使っていて愛着があるのです。そんなTricker’sを定期的にメンテナンスしております。理想的には、朝疲れるまで畑仕事をして、銭湯に行き、午後は靴のメンテナンスができる日曜日が最高の休日ですね。なかなかそんなにうまくいかないのですが…。

 

 

 現在、保有しているTricker’sは2足。紺色のものと茶色のものです。紺色のものはかなり昔、PaulSmithのお店で買って、茶色のものはUnionWorks買ったものです。個人的にはTricker’sといえばUnionWorksって感じです。買って、メンテナンスして、修理して、メンテナンスして…と靴は続きます。

 紺色の靴を買ったのは、わたしが20歳(2000年前後)くらいの頃、なのでもう20年以上履き続けていることになります。それなのに、この輝き!素晴らしいですね。大事に履いていることはもちろんですが、定期的に油を入れたり、履いてあげたり、ソールを変えてあげたりしながら履き続けております。履き心地は決していいとは言えないとは思いますが、だんだんと自分の足の形になっていき、「わたしも靴を知っている、靴もわたしを知っている」という安心感と信頼感があります。もしこの靴が誰かに履かれてしまったら足の形や歩き方が違ってくるので、すぐに壊れてしまうかもしれません。互いに気を使いながら付き合っている感じです。とはいえ、日常的にガンガン仕事でも使いますけどね。

 

 

 ソールは何回か取り替えましたが、毎回、ダイナイトソールにしております。ちょっと革靴にしてはゴツイ感じですが、ブーツなので軽度のアウトドアとか、舗装されていない部分も含めた街歩き、雨のアスファルトなどを考えると、ダイナイトソールがベターかと思っております。

 

 

 もう一つの靴はブラウン。こちらも仕事用で頻繁に使っております。この靴を買った時期もよく覚えております。それは2010年の秋冬あたりです。ですので、この靴も既に10年以上履き続けていることになります。すごいですね。こちらはブーツタイプではないのでより使う場面を選ばず、日常的に使える感じです。

 

 

 こちらはかかとの部分のみダイナイト系のソールを入れて、前の方はダイナイトではない滑り止めのラバーをつけております。両方ともダイナイトにするのはこのタイプには合わないので、使い分けております。

 

 

 全般的にいえることですが、Tricker’sは決して履きやすい靴ではありません。靴としては重いですし、スニーカーのように足にぴったりとフィットするような靴では全然ありません。でもそんなことは本当にどうでもよいと思えるほどに、魅力がある靴でもあります。もちろん好みにもよりますが、長く使い続けたいと思えばTricker’sは本当にお勧めです。なんせ、20年選手と10年選手を未だに現役で履いているわけですからね。

 金額はたしか、ネイビーが7万円、ブラウンが5万~6万円だったと記憶しております。決して安い買い物ではないのですが、長く使い続けることによってそれだけの価値が見えてきます。20歳の時の7万円はすごく勇気のいることでしたが、今ではちょっと20歳の時の自分に感謝していたりします。

 

 わたしにとって日々の暮らしを支えてくれている愛用品のひとつです。