035:Globe Trotter centenary 21

 わたしが日々使っているモノは、熟考を重ねたうえで手に入れることが多いです。モノによっては数年くらい考え続けてから買ったり、買わなかったりします。そんな話を人にすると、驚かれたりもするのですが、どうやらモノに対する思い入れが強いのかもしれません。ここではそんな語りたくなる愛用品をお話しします。

 

 今回取り上げるのは、わたしの持ち物のなかでも「秘蔵っ子」的な存在である、スーツケースです。このスーツケースとの付き合いは長くて、だいたい20年くらいになります。今回は壊れていた部分を修理して直したので、改めてこのスーツケースと向き合うことになりました。

 

 

 壊れてしまったのは、鍵の部分で、うまく鍵が閉まらない…ということで修理に出しておりました。修理期間はだいたい1ヶ月半くらいだったでしょうか。ちゃんと鍵が使えるような状態になって戻ってきて嬉しいです。

 

 

 このスーツケース、イギリスのグローブトロッターという会社のもので、かなりの老舗です。なんと1897年創業とのこと。スーツケースの見た目は重厚でちょっと重そうに見えますが、実はこれ皮ではなく紙でできているものです。なので見た目以上に持ってみると軽いです。発売した当時は、像がのっても壊れないスーツケースとして売り出していたようです。特殊な製法で作っているので、紙でできているとはいえ丈夫です。

 

 

 スーツケースの品質や価格は、上を見ても下を見てもきりがありませんが、わたしは長く使えるものが欲しいと思い、このグローブトロッターを選びました。多分買ったのは、2007年くらいだったと思います。当時でも17万円くらいしたのではないかと記憶しており、大変高価です。2024年現在、改めてグローブトロッターの日本版ウェブサイトを見てみたら、なんとこちらの商品…30万円を超えておりました。円安の影響なのか…、物価上昇なのか…、まぁ分かりませんが、丁寧に長く使えば大変リーズナブルです。

 

 

 どうして当時そんなお金があったのかというと、実はちょうどその時、祖母が亡くなったことと関係しております。祖母が亡くなって、わたしにもオコボレで、遺産ではないですが、何か欲しいものがあったらひとつ買ってよいよと言われたので、このスーツケースを選びました。当時はまだ大学院生になりたてのころで、これからガンガン海外に調査にいくぞ!っていう気持ちもあったわけです。ただ購入してから気づくわけですが、全然フィールドワーク向きではありませんでした(笑)

 結局のところビジネストリップの際にしか活用しない、こちらのスーツケースなのですが、やっと今頃になって活躍しだしてくれております。海外出張は調査ももちろんありますが、学術会議や学会発表も多かったりしますし、国内もまた同様です。こちらの研究費などで出張に行く場合は特に気にしませんが、やはり相手側が旅費を出してくれていたりすると、ちゃんとした身だしなみで行かないとなぁと思ったりもします。その際にスーツケースは必須になります。

 

 わたたしの個人的な見解では、高額なスーツケースは凡そ2パターンあります。それは何かというと、自分で運ぶスーツケースか、ポーターなど係の者が運ぶスーツケースかということです。大きな高級スーツケースを、汗をかきながら自分で引きずっている観光客などをたまに目にすると、心の中で「それは自分が運ぶ用ではなく、〈おつきの人〉が運ぶものなんだけどなぁ」と思ったりもします。が、グローブトロッターとリモワは自分で運ぶ用のスーツケース。そして自分で運ぶ用の至高の品です。というわけで、旅が多いわたしはグローブトロッターとリモワを愛用しております。リモワに関しては、以前書いたこちらをご覧ください。

 

 わたしにとって日々の暮らしを支えてくれている愛用品のひとつです。