わたしが日々使っているモノは、熟考を重ねたうえで手に入れることが多いです。モノによっては数年くらい考え続けてから買ったり、買わなかったりします。そんな話を人にすると、驚かれたりもするのですが、どうやらモノに対する思い入れが強いのかもしれません。ここではそんな語りたくなる愛用品をお話しします。
わたしとどこかで会ったことがある人は、「あれ、この人いつも同じシャツしか着ていないな」と思ったことがあるかもしれません。そう、わたしは基本的に数枚しかシャツをもっておらず、それを夏以外は着まわしている感じです。そのなかでも定番中の定番は、Brooks Brothers Red Fleece のシャツです。これが定番中の定番なのです。
このシャツの素晴らしいところは、はやりすたりがないところ、そして洗濯した後にアイロンをかける必要がないところ(本当はかけたほうがよいのでしょうが)、そして丈夫なところ(オックスフォード生地なのでかなり厚手です)、そしてある程度フォーマルに仕上がっているところです。ですので、この1枚に出会って以来、わたしは基本的にこれを毎日着倒している(文字通り着倒している)感じです。
そもそも、シャツのかたちって時代によってはやりすたりがあるのはご存じでしょうか。あまり男性の首元に目が行くこともないかもしれませんが、1970年代、80年代の男性のシャツはかなり襟が大きく跳ねている感じになります。その一方、2010年代くらいの男性の襟元はヘンリーネックよろしく、襟が極端に小さくなっていたりします。そんなわけで、シャツも特に襟の部分にはやりすたりが現れがちなのです(そしてネクタイの太さも)。ただ、このBrooks Brothers Red Fleece はそれを超越した定番中の定番のスタイルなのです。たとえるならば、まさに「虎屋の羊羹」のようなものです。
シャツを着ていて、一番乱れやすいのは襟の部分なのですが、その襟の部分がボタンダウンになっているので乱れることがありません。これが意外と本当にありがたいです。また見落としがちな、襟の後ろ側の部分もきちんとボタンダウンになっているのが嬉しいところです。このボタンのおかげで、いつ何時でも乱れることなくシャツを着こなすことができます。もちろんフォーマルな場には向きませんが、私服での勤務が多い昨今、このある程度のフォーマル感を出せるシャツは本当に重宝します。そして、洗いざらしでもなんとかいけるので、ずぼらな性格のわたしでもどうにか着続けることができるような感じです。
そんなわけで何着かこのBrooks Brothers Red Fleece を持っているのですが、なんとこれが2021年ごろ(コロナの影響もあったのかもしれませんが)、ブルックスブラザーズのラインから消えてしまいました。残念でなりません。定番中の定番だったのに、心に穴が開いてしまった感じです。今持っている中で一番古いシャツは2018年に購入したもの。ですので2023年現在において、既に5年近く着ているわけですが、全然生地もへたらず問題なく着用できております。1万円くらいするシャツなので、購入した時は「ちょっと高いなぁ」なんて思ったりもしましたが、こんな長く着れることを考えると、本当に有意義な買い物だったと感じております(そして現在は買い足して2着以上もっております)。
最初に購入したシャツは、購入した時期である2018年のメモ書きがあります。サイズはアメリカサイズなので、日本人の体形にとっては172センチなのですが、Mサイズがちょうどいいですね。
袖口のまとまり方も丁寧な感じがします。あとボタンの縫い糸が赤くなっているのも、作り手の遊び心でしょうか…。子どもの足が映っていおりますが、日々の慌ただしい生活の中でも、洗濯した後の洗いざらし感じで(本当にそのまま)着てます。写真はまさにその状態ですが、ただ干しただけでこんな感じに(なんとか)着れる状態であるというのは本当にありがたいです。実際、アイロンを丁寧にかける時間も作れませんし、クリーニングに毎回出すほど(経済的にも時間的にも)余裕がないというのが現状です。そういう意味で何も考えず、ただ袖を通して出かけられるというのは、本当にありがたい限りです。
生産は終わってしまいましたが、今でもBrooks Brothers Red Fleece を愛用しております。同じようなシャツがやはりBrooks Brothers から出ているので、今後はそれを愛用しようかなと思ってもいますが、復刻しないかなとも心のどこかで思っております。Brooks Brothers Red Fleece 本当にいいシャツです。
わたしにとって日々の暮らしを支えてくれている愛用品のひとつです。