お仕事柄ということもあるかとは思いますが、比較的移動が多い方だと思います。ありがたいことです。旅行は非日常であり、毎日楽しい感じ…という印象があるかもしれませんが、家族旅行ならいざ知らず、調査旅行は基本的に日常の延長といった感じです(もちろん初めての場所は新鮮味もありますが)。
院生時代の話ですが、恩師と一緒に沖縄に行ったことがありました。所属していた大学院ではなく、当時もぐって授業を受けていた明治大学の大学院の院生と一緒に沖縄に行ったのです。
その際、移動の途中で昼食をとることとなり、とある食堂に入ることになりました。院生や(社会人を含む)聴講生が、「沖縄そば」「ちゃんぷる」「タコライス」などを注文するなか、恩師がオーダーしたのは忘れもしない「チャーシュー麺」でした。
わたしは、その時「え?チャーシュー麺!?」と思いました。なぜなら、せっかく沖縄に来ているのに、(失礼ですが)どこでも食べることができるであろう「チャーシュー麺!?」。それをわざわざ沖縄で食べる必要はあるのか?、と、ほんとに驚いたのです。それは本当に些細な事でしたが、わたしにとっては衝撃的なことでした。
ただ今になって思えば、その感覚がわかるような気もします。恩師は本当に長く沖縄で調査をされており、伊波普猷賞をもらうほどの沖縄通です。彼にとって沖縄調査は、旅行ではなく日常の延長であり、その時食べたいものをただ注文したに過ぎなかったのです。「フィールド前」の院生であったわたしは、現地に入るというのはこういうことなのかと、この些細な出来事に驚いたのです。
そんなこんなで、わたしも日々の移動(国内・国外問わず)も基本的に日常の延長として淡々と過ごしております(家族旅行は別ですが)。
最近は物価高と円安ということもあって、かなり経済的にも厳しいので海外に行く際は、かなり多めに食料を持っていきます。帰りはその分荷物が減りますしね。かなりお勧めです。「現地のレストランで食べれば…」という意見もあるかと思いますが(もちろん現地の店舗も利用しますが)、われわれが毎日レストランに行かないように、やはり現地の人もレストランには日常的にはいきません。彼らの食卓に紛れ込むか、ホテルでカップメシを食べるのが基本です。
そして洗濯も自分で。最低でも30分くらい時間をとられるのですが、改めて洗濯機のありがたさを感じる良い機会になります。移動先では、疲れをためないように、いつもの石鹸、いつもの歯ブラシいつものコップ、いつもの服、いつもの…と普段自分が使っているモノを、できるだけ使うようにしています。荷物を少なくするために旅先で買うという考え方もありますが、そういうひとつひとつ選択、手間が、不慣れな土地で行動するうえで小さなストレスになり、結局日常の延長をどうやって「移設」するかが、わたしにとっては重要になります(あくまでわたしの場合ですが)。
旅先でカップメシ?と思われる方もいるでしょうが、あくまでも「チャーシュー麺」を注文するようなもので、日常の延長をいかにつくるかが大事だと思っております(逆にわたしの日常があまりに貧弱なのかもしれませんが…)。
そんな日々是好日です。